思わず飛び出した『女房の支えです』
夫唱婦随か〝婦娼夫随〟のゴルフか
初めてのカップを抱いた伊東進君(佐倉)は、優勝者のスピーチでテレながら『夢が叶いました。長いサラリーマン生活を終え、競技ゴルフに専念しようと心に決めた矢先のことです。嬉しいです。文句をいわずに送り出してくれた女房(慶子さん)の支えです』と内助の功を強調した。日本人の習慣からいうと、奥さんの支えを口にするのは稀だが、夫唱婦随のゴルフを実践する伊東夫妻にとっては至極、当然のことだったろう。
まさにゴルフのおしどり夫婦とはこのことだ。『日常、コースを回る時も練習場でボールを打つ時も、常に一緒です』という。これは海外で身につけた習慣なのだろう。大手建設会社に勤務しながらゴルフを覚えた。海外での業務も多かったことから、ゴルフは国内より海外の方が経験豊富だ。
しかし、ゴルフの力量がありながら、勤務の関係で腕試しの場には出られなかった。現役を退いたら・・・伊東君は密かに期するところがあった。今日までこれまで夫妻で実に合理的な練習を積んできた。冬のポストシーズンは体力増強に励み、春が来てボールを叩く。常に夫人同伴。競技に出ることを基準にして生活環境を整えられたのも内助の功だろう。
この日の勝利は、競り合っていた相手の崩れにも助けられた。トップを走る小林祺一郎君(富士チサン)が14番で予期せぬ『8』を叩いたからだ。これで伊東君が浮かび上がった。アウト38、イン36という手堅いゴルフで2位タイの3人に4打の大差をつけて逃げ切った。
1940年生まれ、中学から大学までバスケットボールの選手。 この日、奥さんは『別のゴルフ場でプレーしています』とのこと。横浜出身、71歳。JGAハンディ4.6。